マラソンの当事者研究

令和(2019年5月)から本格的にマラソンを始めた30代男による練習・レース記録および考察・内省の記録です。

【大会記録】舞鶴赤れんがハーフマラソン2022

左からカドゥケウスさん(@sukiy_aki),hiroセンセー(@Hirosense_),TDKさん(@ryota_tdk),筆者(@marathon_yuki)*1

 2022-2023シーズン、開幕戦。

 2022年10月9日に京都府舞鶴市で行われた舞鶴赤れんがハーフマラソン2022のレースレポートです(1話完結)。陸連公認大会。筆者はマラソンを本格的に始めて4年目ですがハーフマラソンの公認大会に出るのは初めてでした。レベルが高く、レベルの近いランナーと競い合えることを楽しみにしていました。

大会特徴

 海が見える区間が長く、展望が素晴らしいコースです。雁又トンネルの区間が坂となっていて、トンネルを通ってまた戻ってくるコースのため、2回大きな起伏があることになります。またトンネル内はGPSの捕捉ができず、ペース感覚がわからなくなりました。後半は高低図を見る限りはほぼフラットですが、細かい起伏が思いの外あり、前半の疲労した脚には堪えるものがありました。ただし、折り返しは一箇所だったので、大変走りやすかったです。給水は5箇所(3.7km, 8.8km, 10.5km, 14.3km, 18.6km地点)でちょうど良かったです。

 また大きな特徴として海上自衛隊の基地に入ったり、艦船が間近で見えたりします。ミリタリーマニアでもないのに変にテンションが上がりました。実行委員会に海上自衛隊の方が名を連ね、声援も大変にありがたかったです。

https://maizuruakarenga-marathon.jp/2022/wp-content/uploads/2022/06/coursemap2022.png

https://maizuruakarenga-marathon.jp/2022/wp-content/uploads/2022/06/coursemap2022.png

 

このレースに至るまで(背景)

www.marathon-tojisya.com

 2022年4月にかすみがうらマラソンを2°48'08"で完走してから、仕事やプライベートで忙しくなってしまい、6, 7月は200kmほどほぼ健康jogで過ごしました。これまで2年半続けてきたTwitterも更新できないくらいには追い込まれていました。

 7月の終わりごろに少しずつ生活が安定してきてポイント練習を再開。8月からは週1回のインターバルor閾値走、週1回の20km以上のランニングを入れられるようになりました*2 強度の指標となるVDOTはマラソンの記録(2°48'08")から算出した58で練習していました。インターバルですと3'28"/km、閾値ですと3'46"/kmペースとなります。

 9月は将来のことも考えて夜ランから朝ランに変更し、突貫工事で身体を作っていきました。9月のポイント練習では、徹底的にLTに焦点を当てて練習を行いました。

9月後半にかけて走りこみをすることができ、何とかなるかも!と思いました。

装備

思うところがあり、レースで初めてVaporfly Next%2を使用しました。
  • シューズ:Nike Vaporfly Next%2
  • ウェア(上):シングレット Newbalance
  • ウェア(下):コンプレッションタイツ 2XU
  • キャップ:Feelcap
  • カーフ:2XU
  • ソックス:Tabio レーシングランプロ*3
  • サングラス:Swans 

 昨シーズンは、勝負レースにadidasのadios Pro2を使用していましたが、同じメーカーのシューズではなく、色々と試してみようと思い、今回は1万5000円ほどで手に入ったVaporfly Next%2にしました。

レース前の記録と目標

 ハーフマラソンのPBは2020年10月に出した1°21'16"(ロケットマラソン)でした。2021年11月にサブ80を目指して挑戦したレースでは10.5km DNFとなり、本気でこの記録に挑戦する大会はその時以来となります*4

 最低でもサブ80と思っていましたが、レース4日前の練習では10kmのLT強度の練習を36'55"(Avg. 3'41")でまとめることができました。その時の主観としてこのペースでは押せないが、もう少しペースを落とせば確実にハーフは走れると感じたので、目標を79分切りに設定しました。

レース前

 前日は仕事が入っており、夜にバスで福知山へ移動しました。舞鶴の宿は手違いでキャンセルすることとなりました*5。自覚があるのですが、自分は詰めが甘く最後の最後でやらかす傾向があります。そのため、前々日は念入りな持ち物チェックを行いました。

 当日は9時半スタートでしたので、6時までぐっすりと6時間強眠ることができました。6時半までにはおにぎり2個と春雨のサラダを食べ、7時すぎの福知山-東舞鶴の電車で40分程度電車に揺られて、東舞鶴に到着しました。現地到着は8時すぎで、受付が8:30までのため、先にお手洗いに行ってその後着替え、8時45分にはアップで1.5kmほど流しを数本入れて整えました。動きは良いと感じました。9時に整列し、後からの割り込みに若干イライラしつつ、Twitterフォロワーのべいやんさん(@karakuchiwanko)とかすみがうらマラソン以来の再会を果たし、後方に前掲のラン友さん3人を確認し、よしやるぞ!となりました。

レース 

 当日の天候は曇り、気温は16℃ほど。体感暑くも寒くもなく、風はレースに影響に与える程度のものではなく、ムシッとした感じもなかったです。つまり言い訳のできないコンディションが揃っていました。グロスネットタイムのズレは2秒。以下は手動ラップで1kmごとにとったラップとなります。

〜5km(3'48"-3'30"-3'40"-3'57"-3'40") 18'35"

 3'45"を切るくらいのペースで入りたいと考えていましたが、最初の入りは3'48"、想定内でしたので2kmも同じような力感で走りましたが3'30"、GPSが狂っていたのでしょうか?平坦なのにおかしいなぁと感じながらの走り始めでした。今回私は79分切りで申請を出していた(と思う)ので、アスリートビブスの番号が近い方を風よけにして、余計な力を使わないように最初は走りました。

 3kmから4kmからトンネルに向かう坂では3'45" +10秒くらいを想定していたので、まずまずかなと思いました。上り坂は個人的に強いので前のランナーをパスすることができ気持ちよく走ることができていました。4kmから5kmのトンネル内はGPSを拾わないため、スピード感がわかりませんでしたが、速くなりすぎず走ることができていたのではないかと思います。トンネル(公道)を走るマラソンに高揚感をおぼえていました。

5km〜10km(3'33"-3'41"-3'54"-3'31"-3'47" 37'02"(18'27")

 5km手前でトンネルを通過すると、下りになります。ここでは先ほどの上りとは対照的にうまく「転がる」ことができず、前のランナーには引き離され、後ろから抜かれる格好となりました。うーん、下りが下手です。またこの時足裏にマメができているのを感じていました。

 5kmを過ぎると、海上自衛隊の航空基地に入るという稀有な体験ができます。若干のテンションの上がりを感じつつ、まだまだ呼吸は安定している状態でした。今日は行けるぞと思いつつ、あまり時計を見ずに体感を信じて走っていました。基地を抜けると、また来た道を戻る形となり、2回目の坂です。キツい坂はこれで終わり、これ以上キツい勾配はないんだ、と自分の中で念じながら走っていました。この上り坂で心拍は192を記録していました。最大心拍の96%といったところでしたが、全然苦しいといった感じではなかったです。

 この10kmあたりはTDKさんとペースを作り、直後にべいやんさんがいるという隊列で、ランニングを本格的に始めて3年で知り合いが増えたなぁなどと考える余裕はありました。

10km〜15km(3'42"-3'45"-3'44"-3'45"-3'47") 55'47"(18'45")

 高低図を見る限りはアップダウンがほとんどないように見える後半ですが、川を3箇所ほど渡るのもあり、橋の細かなアップダウンがボディブローのように効いてきます。半分の通過からを見る限り79分切りの貯金があることは十分にあることに気づき、3'45"で押せれば余裕でクリアできるという安心感がありました。13, 14kmあたりで疲労が出てきているのか、左脚の動きが悪くなってきているのを感じましたが、焦らず海を眺めることで気を紛らわしていました。風景がいかにも海の街!という風景で楽しめました。

15〜20km(3'41"-3'41"-3'48"-3'44"-3'51") 1°14'34"(18'47")

 15kmから16kmにかけて、唯一の折り返しポイントでここでラン友さんとのスライド及びエール交換ができました。動きが悪くなっていましたが、声を掛け合うことで身体の動きが改善された気がしました。また、後ろからどんな人が来ているのかを確認することができました。絶対負けたくないなと思っている方がいたのですが(上記の方々ではないです)、20秒くらい先行していたので最後までペースを守れれば確実に抜かれることはないと思っていました。そのスライドでもう一人確認していたのは女子選手のトップの(優勝された)方でした。その方には今まで '20高槻ハーフマラソン、'21なにわ淀川マラソン、'21奈良マラソンで惨敗しており、勝手に目標にしていました。折り返しの時点で目測15秒くらいの差といったところでしょうか。序盤から同じくらいのペースで走っていたのですが、坂の下りで置いて行かれて、そのまま同じようなペースで走り、差が詰まらずにいたのでした。

 前に良い目標ができたので、少しずつ詰めていこうと思っていたところ、何キロかは忘れましたがTwitterフォロワーさんのM. Ryoさん(@The__Beagles)が後ろから来ていて、あっという間に抜き去って行かれました。何とかお声かけはできましたが、本当速かったです!全く抵抗できませんでした...笑

 そんなこんなで19km地点まできたところで、アクシデントが起こりました。橋を渡るためにちょっとした起伏を上ると...奴がきたのです。

左のふくらはぎにピクピクっとする奴が...

 まさか、ハーフマラソンで攣りの前兆がくるとは思ってもみませんでした。幸い、ゴールまで脚が攣ることはなかったのですが、全く想定外の出来事に若干狼狽えました。それでもあと2kmと思い、何とか持ち堪えてくれと思いながら走っていました。なお、18kmあたりからこれまでこの文章の中では登場していないランナーですが、後ろをピッタリとつけられており、ゼーハーという息遣いが不快に感じられました。

20km〜ゴール(3'40"-19") 1°18'34"(4'00")

 20kmの通過時点で、脚が攣ってもサブ80は確実。ただ、ここで安全策を取るよりも攻めていこう、後ろのランナーを振り切ろうと、前の(女性)ランナーを目標にペースを上げていきました。すると、みるみる前との距離感が詰まっていくのがわかりました。このあたりは無我夢中で走っていました。オールスポーツさんの写真を見返すと、悶絶の表情でしたが...笑 スタート地点に戻ってきて、声援が聞こえてからスイッチが入り、ラストスパートをかけます。

 結果、ラスト100mのところで、女性ランナーを捉えたところがゴールでした。ありがとうございましたとお伝えしようと思ったのですが、記録達成の高揚感で忘れており、お礼を言うことができませんでした。反省。その方は京都の方で、練習会でご一緒したこともあるので、今度お会いしたら必ずお礼を言うことにします...。その後、ラン友さんたちと健闘を讃えあいながら余韻に浸っていました。

全体の内省

 今回の記録達成の要因として

  • 調子の波を本番に合わせることができたこと
  • 記録を出すための環境が揃っていたこと

が挙げられます。9月から走り込みができていたことで、体重に関しては前走マラソンで2時間48分台を出したかすみがうらマラソンと同じくらいの重量に戻すことができており、主観的にその時と同じような状態だ!と思い、本番を迎えることができました。また直前でのポイント練習では余裕を持ってレースペースを終えることができていたため調子よく、自信を持って大会に臨むことができました。さらに、気温が16℃、曇り、しかもほぼ風なしという最高のコンディションでした。ここでPBを出さずしていつ出すんだと自然と気合が入りました。

 正直6,7月の段階ではスピード低下は否めず、10月の時点で自己ベストが出せるほどの調子に上げられるとは思ってもみませんでした。ただ今後もライフイベントの発生など同様の状況は想定されますが、決して長い期間の準備期間ではなかったものの、諦めずに練習を積んでいけば、何とかなる場合もあると今回の準備から学びました。

 一方で課題に関しては

  • フォーム
  • 筋力不足

が挙げられます。後で撮ってもらった動画を見て気がついたのですが、私の走りは全体的に前傾になっておらず、直立に近い形になっています。フィードバックをもらい確かにそうだと感じました。ほんの少しの意識だと思うのですが、改善できるポイントだと思いました。

10.5km付近での筆者のフォーム

 また、下り坂での走りでは、フォームが全然なってなかったように思います。正直下りの走り方はいまだにわかっていません。昨年(2021年)の奈良マラソンもその弱点が顕著に出たのですが、前述の通り、「転がる」ことができなかったように思います。その結果前には離され、後ろには追いつかれてしまいました。シドニーオリンピックで金メダルを取られた高橋尚子選手は、下りは「小石」のようにピッチ走法で走るイメージとおっしゃっています。

sports.yahoo.co.jp

 下りは以前から苦手ですが、今後のフルマラソンでは、起伏の激しいコースを走る予定ですので、へっぴり腰にならないように前傾をうまく活かす走りを模索して行きたいと思います。

 また、全体的な筋力不足も今回感じました。本大会ではNikeのVaporfly Next%2を使用したのですが、これは以前かすみがうらマラソンで使用したadidasのadios Pro2よりも明らかに反発が強いです。それにより、自分が走るというよりも走らされている感覚がありました。走り込みはできていたものの、筋力を生み出す補強はあまりできていなかったように思います。また、ポイント練習などで厚底のシューズばかり使っているため、ヒラメ筋のような脚筋が発達していないのでは?ということに最近気がつきました。さらに今回思いもよらないところで脚攣りの予兆を感じました。これは筋疲労もありつつ、筋力不足が原因ではないかと分析しています。そこで普段の練習では、場合によっては薄底を利用し、筋力を鍛えるといった手立ても考えられるのではないかと思います。

 ということで、今回は改善できる部分を炙り出せた点も含めて、非常に良い経験ができました。

 なお、今後のマラソンの予定は以下の通りとなります。

11/13 おかやまマラソン

11/20 神戸マラソン

12/18 加古川ラソン(サブ3公式ペーサー)

2/19 京都マラソン

 11月に2週連続フルマラソンがありますが、貧乏性なのでDNSにはせず、どちらかはファンランにしようと思っており、どちらかは本気で狙っていきます。神戸を本命にしたいのですが、前週にファンランで翌週本気でフルマラソン疲労の観点から...うーん。でも神戸で本気で戦ってどこまで通用するか(何位くらいに入れるか)を知りたいという気持ちもあり...さてどうしようかとここ1か月ほど悩んでいます...

 また目標はサブ245なのですが、今回の結果からすると、まだまだ自分の実力はそこには到達していないと感じました。11月に向けて、今回見つかった課題の部分を今まで行ってきた取り組みとともに、強化していきたいです!

サブ245はまだ高い壁に感じられます

 最後までお読みいただきましてありがとうございました!

余談

 大会後は、カドゥケウスさんの運転でhiroセンセーと舞鶴の魚介類を堪能しました😊

舞鶴のサカナテラスさんで昼食をとりました。魚介類をその場で調理をしてくださる(調理方法も選べます!)スタイルで、海の幸を心ゆくまで堪能できました✨ここは再訪の価値あり!

www.google.com

*1:@以降はTwitterのIDです。内輪ネタにならないよう、アクセスいただければどんな方からわかるように明示しています。

*2:参考までに8月の走行距離は320km

*3:写真に写っているのはFunctionalfitのソックスですが、変更しました。

*4:フルマラソンの調整(2021年12月小野ハーフマラソン)やペーサーとして参加したレース(2022年3月ロケットマラソン)があります。

*5:タバコが全くダメなのに喫煙の部屋を取ってしまい、キャンセル。それに気がついたのがレース3日前でした。